2008年1月 4日
Aion シーズン1βテストが残した課題 [ AION ] Tweet
去る 23日 午後 12時、長いと言えば長く短いと言えば短い
Aion シーズン 1 クローズベータテストが終わった。
Aion 初の公式デビューである今回のテストは、総 8週間の週末を通じて
進行され、天族と魔族の初盤コンテンツテストを目的としていた。
初テストを終えた今、Aionはユーザー達にどんな印象を残しただろうか?
8週間のテスト自体に対する評価はもちろん、これを経て現われたAionの
色々な長短所を察してみた。
●派手半分、憂慮半分の登場
去年 5月、 E3で最初のプレイ映像が公開された後、実際テストまでかかった時間は大凡 1年と 4ヶ月、
長い間待っていたユーザー達に対して補償でもする為だったのだろうか?
Aionは最高水準のグラフィックと、今すぐオープンベータテストを始めても良い程の
多様なコンテンツを持って一回目のクローズベータテストを始めた。
本当にコンテンツの量と質だけはかなりの海外ゲームのクローズベータテスト以上だった。
しかし、その結果は半分の成功だった。
派手なグラフィックと幾多の楽しむコンテンツを見せる事には成功したが、
テストを進行して行くと、Aionだけの個性が見つからないと言う指摘が並んだのだ。
特にコントロールよりはステータスと装備に寄り掛かる単純な戦闘方式は
RvR ゲームを志向するAionには致命的かも知れない事だった。
一方、クローズベータテスト ゲームでは当然登場するものと決まっている
「ゲーム自らの完成度とテスト進行方式に対する不満」 は殆ど捜してみる事は出来なかった。
中間に何回かの不安定なサーバダウンを経験した事を除けば、大きな問題も無かったし、
コンテンツの量と質も、週当り 10時間というテスト持ち時間の間に楽しむには十分でものであった。
それに、雨が降れば木の葉を取って頭を覆い、暑い地域では扇ぐ等の自然な動きと仕組みがあって、
クエストは Aion の細心な部分にまで気を使って作ったゲームだという事を見せてくれた。
爆笑を催すパロディーと自然な進行。これが筆者が感じたAionの長所の中の一つだ。
結局 Aion の完成度をおいて、甲論乙駁をしたユーザー達の降りた結論は、
「もう少し見守る様にしよう」 と言うものだった。
●魔族には不満を!完成度には褒め言葉を!
しかし、ユーザー達のこんな期待は魔族が公開されると憂慮と心配に変わった。
天族と一緒にAionの肝となる魔族が、公開された天族と違う所が無かったからだ。
それは、職業構造や使うスキルさえも一つを除き 「完全に同じだった」 だけでなく、
アイテムの能力や、マップの構成さえも似たり寄ったりだった。
もちろん開発社側では設定相議理由を立てて、魔族と天族は 「同じになる」 を強調したが、
ユーザー達には、これは単純な 「言い訳」 以上の何者でも無かった。
ゲームの設定の為、コンテンツをこの様にさせたという事は本当に言い訳にしかならない。
さらに自動方式のステータス / スキル成長によって、自由度が無いという評価を受けている状況で、
このような魔族のアップデートは、ユーザー達を失望させるには十分だった。
なお、テストが終わる時点でも、Aion の種族の違いは見えなかった。
魔族公開後のテストは、比較的静かに進行された。
もちろん、制限レベルを一月以上縛ってあったせいで、ユーザー達が楽しむ事が出来るコンテンツが
不足しているのもあったし、たまにサーバダウンが起こり、問題を経験する事もあった。
しかし、クローズベータテスト中という Aion の状況を見る限り、問題ない水準、いや、むしろ
一回目のテストからこれ程の良好なゲーム環境を取り揃えたという点は、
誉めても不足しない内容であった。
何回言っても足りないが、遊びの種は十分だった。
それに、テスト終了前日には、今後登場するアビスポイントと関わったモンスターの侵攻イベントを
実施する事で、ユーザー達に以後のテストに対する期待感と、好奇心まで吹き入れてくれた。
テストの準備と進行、そして終了においては、やはりNCソフトらしい老練な姿を見せてくれていた。
●秀麗なグラフィックとコンテンツは合格
それでは、本格的な評価に入って行って見よう。
果たして 8週間という期間の間、Aion はどんな姿を見せてくれただろうか?
一番印象に残る事は、やはり優れたグラフィックと多様なコンテンツだ。
大多数のゲームが 「中身より見かけ」 を先に立たせている韓国の国内オンラインゲーム市場で、
優れたグラフィッククオリティー = 凄い長所という公式が成立される事は難しい。
しかし、Aion は単純にグラフィックのクオリティーを上げる事ばかりに集中するのではなく、
初めから 「グラフィックの焦点」 自体をキャラクターに背景を移した。
すなわち (NCソフトの前作を含んだ) その他のゲームの様に、
「ポツンとしたキャラクターに寂しいフィールド」 では無く、
「適当に美しいキャラクターと派手なフィールド」 という
二匹の兎を全て取るのに成功したという意味だ。
背景にあるオブジェクトが見えるだろうか?
そこに色を描いて 「ここは森だ」 と主張するゲームとは根本から違う。
それぞれのフィールドは、その所の状況と設定によって独創的な姿を持っていたし、
平地を尋ねにくい位に 「自然な」 高低差が存在していた。
そればかりでは無く、崩れた神殿の前を守る銅像と、滝の水の後ろに隠されたやや細い道、
視野を邪魔しないが、画面一杯に立ち入っている、ぎっしりした木と岩等は、
敢えて解説が無くても 「ここがどんな所だ」 と言う事をひと目に知らせてくれた。
特に、背景のどこにでもいける Aion (ゲーム内の中心を成す塔) と、
初心者地域を脱してから接する事が出来る巨大な飛行物体を見れば、
いつの間にか 「これから出るもっと大きなスケールの世界」 を憧れる様になる程、
背景グラフィックに限っては 「圧巻という言葉が惜しくない優れた水準」 だった。
Aion(塔)と浮遊物。
なお、不自然なキャラクター動きと、案外不足なコストマイジングが目立ったりしたが、
これはクローズドベータテストという兔罪符(?)で充分に容納出来る水準だった。
そして、クローズドベータテストらしくない様に、クエストから製作 / 採集、現在位置距離まで、
全て取り揃えていた準備性も、今回のテストを通じて Aion が見せてくれた 「長所」 だ。
製作当時にはおびただしいコンテンツが待っている様に広報しながら、
実際ゲームに入って見れば具現化されている事は一つも無い幾つかの 「釣り」 ゲームは
少しは模範にしたらどうだと思う位である。
●個性が無い?
しかし、 8週間のテストを経て、指摘された問題点もある。
いや、正確に言えば、問題点に対する指摘がもっと多かった。
初盤から指摘されたキャラクター差別化の不足、
そして、RvR ゲームと呼ぶには不足に見えるコントロールに対する部分だ。
特に、テストスタートの前から多くの憂慮を生んだ差別化されたゲーム性に対する論難は、
テストが終わる日まで荷札のように Aion を追い回した。
多様なクエストと製作、便利なインターフェースに至るまで、
Aion の大多数のコンテンツは確実に「完成されていた」。
それに、クローズベータテストでこの全ての物を具現化し出した点も誉めた点だ。
しかし、この全ての部分で Aion だけの独創的なコンテンツを言いなさいと言うと、何種類もあるだろうか?
ただ天族と魔族が争うと言うお決まりなストーリーと飛行がある位だ。
完成度は確かに高かったが…。
その飛行さえ最初の期待とは違い、特定地域でのみ可能だったし、
長続き時間も 1分余りに過ぎなかった。
Aion が他のゲームと何が違うのかを説明する事が出来る方法が 「初めから」 無いのだ。.
もちろん、他のメインとなるコンテンツがまだ公開されなかったし、
飛行も今後時間が増える筈だという話はあった。
しかし、この全ての物等が具現化されると言っても、事情が良くなる事ではない。.
今回のテスト期間の間に公開されたのは、レベル 20までのプレイで、
レベルアップだけ行っても約 20時間程の分量だ。
単純にレベル数字だけで比べる事は出来ないが、
Aion が目標とする大多数の RvR ゲームが約 150時間位なら、
今回のレベルに到逹する事で見た時、ゲーム全体の 1/10 以上は公開された訳だ。
しかし、今まで Aion だけの特徴だと感じた事は、転職後に楽しむちょっとの飛行が全て。
その他は皆 「何処かで見た」 コンテンツを集めておいた事に過ぎなかった。
結局、初盤コンテンツが今のような姿で残っていたら、Aionを期待する大多数のユーザー達は、
約 20時間の間 Aion を 「グラフィックだけ良い特徴の無いゲーム」 として受け入れる様になるだろう。
露骨に言って現在 Aion の状態は 「クオリティーの高いポスト WoW + リネージュ2」 だ。
そして Aion では、スキルやステータス、特性の様に、自分だけのキャラクターを
育成する事が出来る方法が 「ただ一つも」 存在しない。
装備を外せばキャラクターは誰でも 「全く同じスキルとまったく同じ能力値」 を持っている事になる。
このような問題点は、魔族の登場以後もっとも表に出た。
前述した様に、魔族の職業構造はもちろん、スキルも天族と全く同じだったからだ。
これを補うコンテンツも、内容を見ると他の職業のアイテムを使うとか、
一つ二つのスキルを変えるとか、その様な事に過ぎなかった。
Aion でユーザーが出来る選択の幅は、「8種の職業の中から一つを選び育てること」 が
全てである訳だ。
見掛けも差別化が不足な水準だ。
テストが終わるまで、これに対する解決策は、相変らず提示されなかった。
●自家撞着に抜けたコントロール問題
ユーザー達の不平はここで止まなかった。
自動照準方式によって、相手を選択してボタンさえ押せば攻撃する単純な戦闘方式も対象となった。
当初、開発チーム長はこれに置いて、多様な連続攻撃を行い、これを通じて心理戦をする事で
コントロールの味を生かすと言う発言を行った。
しかし、実際のゲームでは、全ての連続攻撃が即時詠唱で発動するうえ、
確率によってのみ発動される為、これを予め予言して防ぐ事は不可能に近かった。
使う方も自由に使えないのに防ぐ事など出来る訳が無い。-_-;
それに前述した様に、職業によってステータスとスキルも同じで、
射程距離の外にいる敵でもボタン一回で自動で照準 /移動までしてくれる。
結局 PvPをやって見ると、お互いにくっついてレベルと装備を競う方式になるしかない。
RvR を目標にするゲームとしては実に 「最悪に近い方式」 を選んだ事だ。
しかし、自動照準 /移動を容易く諦める事が出来るものでも無い。
もし、自動標準を止めてしまった場合、今後戦闘をする時は空を自由自在に飛び回る事が出来る為、
いちいち目で見て攻撃しなければならない困り果てる状況を作る様になるからだ。
この場合、近接を主とする職業と、長距離職業の間のバランスを合わせるのもとても難しくなる。
結局、明らかな戦闘方法を捜す事が出来ない Aion は、今のように地上戦と空中戦、
どちらも満足させる事が出来ない 「中途半端戦闘方式」 を持ったゲームとして残る様になった。
●千里の道に上がった Aion
今 Aion がこれからすべき事は明らかになった。
第一に、 「これが Aion だ」 という物を感じる事が出来る要素の追加が必要だ。
もちろん、今後に追加コンテンツ等が登場する予定だが、
その他にも初めから 「 Aion はこんな感じだ」 と見せつける事が出来るコンテンツが必要だ。
8週間の間のテストの中に見えた一種の 「パロディークエスト」 を強化する事でも良いし、
飛行を通じるレースや、公衆戦闘の追加も考慮して見るに値するだろう。
そして、種族とキャラクターの間の個性を表す事が出来る何かが存在しなければならない。
千編一律的なキャラクターがバランスを合わせたら良いのかと言うが、
ユーザーの立場では、選択の幅を制限してしまう事に過ぎない。
能力強化をするとか、制限されたポイントを分配するスキル / ステータス等を通じて、
自分だけのキャラクターを作る事が出来る様にする必要がある。
テスト後半に能力アイテムを販売する NPCが消えてしまったが、
後日もっと 「多様で役に立つアイテム」 を持って帰って来るように願う。
最後に、コントロールに対する部分だ。
筆者の予想の様に空中戦の為、自動照準と移動を易しく省く事が出来ないのなら、
初めから公衆では自動標準 / 移動が可能だが、地上では自ら全てのコマンドを
コントロールする様に変更すれば良いことだ。
これさえ実装すれば、連続攻撃の種類を増やし、多様なキャスティング時間やパーティー型の
連続攻撃等を作る事で、「ギルドウォーズ方式」 の戦略的な戦闘を作り上げる事も出来るだろう。
他の部分は実装出来るか分からなくても、コントロールに関する項目だけは
RvRゲームにおいて 「命とも同じ事」 な為、一番優先的な補完が必要だと思われる。
空中と地上、全てを満足させてくれるコントロール方式を思い直す必要がある。
あと何回のテストを経るかも知れないが、一応シーズン 1 テスト期間の間に出た、
Aion に対する評価は、半分の褒め言葉と半分の不満だった。
しかし、その褒め言葉の大部分は 「グラフィック」 に関する事である一方、
不安の大部分を占めていたのは 「コンテンツの独創性の様なシステム的な要素」 だったという点を
見逃してはいけない。
派手なグラフィックがユーザー達を引き入れるかは分からなくても、
結局そのユーザー達を捕まえるのは優れたシステムだからだ。
今の Aion には、この様な 「システム」 が必要だ。
Aion のシーズン 2 テストまでは、若干の月余の期間が残っている。
次のテストでは、何ともユーザー達の念願どおり 「卓越なグラフィック」 と 「優れたゲーム性」 を
全て持ったゲームになって帰って来てくれる様に願う所だ。
投稿者 (む) : 2008年1月 4日 14:01
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コメント
Aionでも苦労しているみたいですが、最近登場するゲームの殆どで見られるシステムが
既に他のゲームで実現済みの様式だったりしてアイデア的にはもう飽和しているんじゃないかと思うほどです。
以前記事をご紹介いただきましたTabula Rasa(β版)でも例に漏れず、「リチャードギャリオットの」Tabula Rasaであるという以外に特筆すべき個性を見出しにくい状況でした。
美麗なグラフィック、多彩で大量なクエスト、豪華な装備というのは最早付加価値に非ず。
最初から実装されていて当然、というご時世なのかもしれません。
MMORPGというジャンルに訪れる最初のパラダイムシフトはいつになるのでしょうね。